2年に一度の大仕事!診療報酬改定について

医療情報システム診療報酬

現在私の病院では診療報酬の改定作業を真っ只中です。私はあまり力になれていないのですが、先輩SEが各部署との調整や電子カルテシステムの導入業者との調整を日々行っています。

まだ診療報酬や各部署、病院全体について知識が少ないのでまだまだ各部署との調整はできないのですが、少しでも診療報酬改定について知るために、診療報酬改定について調べてみました。

診療報酬とは

診療報酬は、患者さんが保険証を掲示して医師などから受けた医療行為に対して、保険制度から支払われる料金のことです。詳しくは医事課の記事で書いているので、良ければ見てください。

診療報酬はそのまま医師の収入になるのではなく、病院全体の人件費、医薬品・医療材料の購入費や施設の維持・管理などの使われるので、病院で働く人たちにとってとても重要なものになります。

診療報酬の決まり方

一般的に商品やサービスの価格は、社会全体の需要と供給で値段が決まっていきますが、医療行為や医薬品代は国によって細かく値段が定められています。診療報酬制度の規定が、保険医療の範囲や内容を定める品目表になっており、一つひとつの診療行為の価格を定める役割を果たしています。 1点の単価が10円になっており、例えば1,026点の受診料がかかった場合は、10,260円が合計額となりますが、保険を使った場合の自己負担額は3割負担だと3,080円になります。

また、診療報酬は時代によって変わる社会や経済状況に適応していくため、基本的に2年ごとに改訂されます。診療報酬のルールは厚生労働省に設置されている中央社会保険医療協議会(中医協)で審議された後に、厚生労働大臣が定めています。

昨今のニュースで医療崩壊が話題になるように、診療報酬が低すぎると医療機関の経営が苦境に立たされ、地方などで閉鎖する病院が増え病院に掛かれない人や、儲かる診療科ばかり増えてアンバランスになってしまう恐れがあります。逆に診療報酬が高すぎると医療費が払えない人が増え、やはり病院に掛かれない人が出てきてしまう恐れがあります。 そのため慎重に診療報酬について協議する必要があります。日本医師会としては健康寿命の延伸と生活習慣病などの早期発見による重症化防止などを提言して、必要な医療を受けられる環境を目指しています。

直近の診療報酬改定

直近の診療報酬改定として2018年(平成30年)度の診療報酬改定と2019年(令和元年)度の消費税増税に対応した改定があります。

消費税増税に対応した改定は、増税により医療施設の負担を軽減するために全体的に上乗せする形で見直されました。

2018年度の診療報酬改定は、「人生100年時代を見据えた社会の実現」などを基本錦として改定が行われました。地域包括ケアシステムの構築や、かかりつけ医・歯科医・薬剤師・薬局の機能の評価、在胎医療や訪問看護などが新設や引き上げなどの改定がされました。

令和2年度の診療報酬改定

2020年(令和2年)度の4月から診療報酬改定が行われています。今回の改定の方向性は昨今話題になっている「働き方改革推進型」に対応する内容になっています。2024年4月から医師の時間外労働の上限が適用される予定になっており、労働環境を改善するための取り組みやチーム医療などを診療報酬で評価されています。

具体的な例として、施設基準に医師の負担軽減や、医療機関の委員会でチーム医療を推進する内容が盛り込まれています。また看護職員の夜間配置加算が評価されています。

タスク・シェアリング/シフティングのための評価として、医師事務作業補助者(MA)の評価も評価されています。MAについては以前の記事で説明していますので興味があればご覧ください。

また業務の効率化でICT(Information and Communication Technology)の利活用の推進も取り組んでいて、原則対面での実施になっていた項目がICT活用でも点数が取れるようになったり、情報通信機器を活用した場合の評価が新設されています。

院内SEの作業

院内SEとして作業は、電子カルテシステムの提供業者が改定内容に合わせて配信するプログラムを、各部署と調整して病院として対応するかどうかを取り決めています。 私は今回の改定が初めての改定になるので、この作業にあまり取り組めていないのですが、先輩SEが各部署に翻弄されて忙しく調整しています。電子カルテシステムのプログラムにバグがあったり、部署との連絡がなかなかつかなかったりと色々トラブルが続いています。 私も早く改定内容をはじめ、各部署や病院全体のことを把握して先輩SEのサポートできるように勉強中です。

まとめ

病院としては収益にかかわる大きな診療報酬で、それが2年ごとに大きく変わるので病院全体が慌ただしく対応に追われています。また新型コロナウイルスの影響で診療報酬改定の説明会が中止になったりと大変な日々が続いています。

2年後の診療報酬改定時にはもっと診療報酬について勉強して、各部署と調整できるようになっていきたいです。