パソコンの準備ってどうやってるの?キッティングについて

医療情報システムキッティング

院内SEの代表的な業務として、PCが届いた状態から病院内で使えるようにセッティングする作業があります。PCが届いた状態でそのまま電子カルテが使えたら楽ですが、言い換えてみれば他所から持ってきたPCがそのまま院内ネットワークに入り込めてしまえます。 そうならないように新品のPCを院内で使えるようにネットワークの許可設定を行ったり、セキュリティや電子カルテのセットアップを行っています。今回は院内SEが行っているPCの設定作業をご紹介します。

キッティングとは

新品のPCが届いて、業務で使える状態にする作業のことをキッティング(kitting)といいます。これを行わないとせっかくのPCでも病院内では使えないただの置物になってしまいます。

私も初めてキッティングを行ったときは、丸一日以上かかるほど時間がかかっていましたが、現在では少し慣れてきて、また自動化のツールを作ったりして作業時間の短縮化をおこなっています。

作業内容

キッティングの作業内容は大まかに分けて以下の通りになっています。OSのバージョンや、PCの型番、デスクトップかノートパソコンかによっても少し作業内容が変わったりします。

IPアドレスの設定(ドメイン参加)

私の病院ではパソコンやプリンタなど一台一台に固定IPアドレスを割り振っています。家庭にあるPCはほとんどルーターから自動でIPアドレスが割り振られていると思いますが、院内のPCは400台以上あるので、管理しやすいように固定で割り振っています。

IPアドレスを割り当てたら、ドメイン参加させます。ドメイン参加とはドメインコントローラーというWindows Serverに搭載されている機能で、ドメインに参加しているパソコンの情報を管理でき、それぞれの権限なども設定することができます。

ドメイン参加のメリットとして、使用者が勝手にソフト入れらないようにしたり、各部署で使用している共有フォルダを参照できるように設定できます。基本的に院内PCはドメイン参加しないと電子カルテや共有フォルダを見ることができないようになっています。

電子カルテシステムの導入

ドメイン参加することができたら、共有フォルダから電子カルテシステムをインストールします。電子カルテシステムを使用するためには、特定のソフトのインストールや特別な設定が必要になります。 Windows 7の頃は手動で設定する部分が多かったのですが、最近はWindows 10で納品されるようになり、電子カルテシステムの業者から自動でセットアップするツールが提供されたので、数クリックで電子カルテがインストールされます。しかし同じWindows 10でも1903や1709などのバージョンによって動きや設定に違いがあり、バージョンによって手動で確認しないといけない部分があるので、注意が必要です。

その他ソフトのインストール

電子カルテシステムが終わったら、院内で独自に取り入れているソフトや部署によって必要なソフトをインストールしています。文書や表計算を作ることが多い部署ならMicrosoft Officeをインストールしたり、PACSソフトがJavaを必要としているのでインストールするなどを行っています。 また、医療用語などデフォルトの辞書では使えないことが多いので、医療辞書を設定しています。

設置部署に応じての設定

各部署に設置する際に、その部署で使っている複合機の設定など、部署に導入している他の機器やシステムとの連携を行うための設定などを、部署でしかできない場合は直接部署で設定しています。

batファイルでの自動化

ご覧のようにキッティングでは作業内容が多く、作業手順をまとめて効率化を図っているのですが、今回IPアドレスの設定からドメイン参加までbatファイルを作成し、ワンクリックで作業内容を簡略化することができたので、設定した内容をご紹介したいと思います。同じようにキッティングを行っている方にとって少しでもお役に立てれば嬉しいです。