病院の質改善活動!機能評価について

病院だより機能評価

6月某日、急に病院内が騒がしくなりました。病院の役職者と病院外から来た人が各部署を回って責任者にインタビューやパソコンで何か作業をしていました。 その前から病院内がそわそわし始めて、それぞれで何やら準備を始めていました。 今回はそんな、数年に一度の大行事機能評価について説明していきたいと思います。

機能評価とは

機能評価とは公益財団法人 病院機能評価事業が中立・科学的、専門的な立場で医療の質・安全性の向上と信頼できる医療の確保に関する事業を行っており、機能評価もその事業の一部です。安心・安全の医療提供ができるように第三者機関からの評価をしてもらう取り組みです。

沖縄県では現在24の病院が認定されていて、機能評価のページではその病院の特徴や審査結果の内容などを見ることができるので、近くの病院がありましたら覗いてみるといいかもしれません。

どんな評価が行われるのか

具体的な流れとして下記のようになります。

  1. 申し込み
  2. 受審準備
  3. 書面審査
  4. 訪問審査
  5. 中間的な結果報告
  6. 審査結果通知

その中で評価されるのが、4つの評価対象領域から構成されていて、1.「患者中心の医療の推進」、2.「良質な医療の実践1」、3.「良質な医療の実践2」、4.「理念達成に向けた組織運営」について評価されます。それぞれ細かな評価項目で定義されていますが、私が内容をまとめるとすると、

  1. 患者中心の医療の推進患者の意思を尊重し、医療安全と質改善の取り組みについて
  2. 良質な医療の実践1診療体制、チーム医療・ケアの実践
  3. 良質な医療の実践2薬剤科や放射線科、栄養科などコメディカルが適切か
  4. 理念達成に向けた組織運営人事や教育、経営や設備など病院組織としての運営は適切か

以上のようなことを評価していると思われます。

メリット

この機能評価を受けるには結構な金額がかかり、150万以上かかってきます。このようにお金を出してでも評価を受けるメリットとして大きく3つあると思います。

1つは、病院の現状を知り、改善の方向性や目標設定、職員の自覚を改善意欲の向上などPDCAなどの改善活動を回しやすくなります。病院が地域に根差した医療を提供するにあたり自助努力が最も大切ですが、第三者からの視点(評価)が有用になります。自分たちの価値観だけで進めていくと自己満足に陥りやすく、独りよがりな結果となってしまいます。ある一定の標準的な目標があればそこを目指して改善活動ができ、さらに評価してもらうことで病院の位置づけや問題点などが明らかになります。

もう一つは患者さんへのアピールになります。機能評価を受け改善活動に取り組むと認定証が発行され、病院全体の改善活動が証明されるので良い医療にかかりたいと思っている患者さんへは大きなアピールポイントとなりえます。私は病院に入職する前には気にしたことがなかったのですが、これから機能評価を参考にしていきたいと思います。

最後に直接的なメリットとして病院機能評価が影響する診療報酬や施設基準があります。診療報酬や施設基準については下記の記事をご覧ください。

例えば総合入院体制加算緩和ケア診療加算などがあり、直接的な点数を加算できるのでこちらを目指す病院も多いのかもしれません。

評価調査者(サーベイヤー)

病院機能評価の際に実際に来院されて調査を担当する調査者をサーベイヤーと言います。サーベイヤーには様々な分野に精通しているエキスパートで構成されており、例えば看護管理のサーベイヤーでしたら、看護部長や看護師長の経験者である必要があります。そのようなサーベイヤーが複数人で病院内の部署を調査していきます。

院内SE評価点

私は今回初めて、病院機能評価の調査に立ち会ったのですが、上長の方に様々な質問をしていました。その質問にスムーズに答えていたので用意はだったと思います。しかしながら実際に院内カルテなどのシステムも調査しているので中間報告でいくつかの指摘事項が挙がってきました。例えば、電子カルテの修正可能日数の制限についてや、データの保存方法などシステム的な内容について指摘や、院内SEに医療情報技師がいるかなど部署構成についても聞かれたり、指摘がありました。

長期的にはAIを活用したカルテ文書評価システムとして、カルテ内容をAIで分析してカルテ記事に不適切な文言は記載されていないかをチェックできるシステムが構築できないかと検討事項を挙げられたそうです。

まとめ

病院の改善活動で非常に重要となる病院機能評価を説明しました。うちの病院も何度か更新を行っていて、日々改善活動を行っています。また、機能評価自体も毎回同じ評価項目ではなく、定期的に見直しをしていて現在は<3rdG:Ver2.0>という内容になっているとのことです。

院内SEとして日々の業務をこなす一方で、業務改善を意識しながら改善活動を行っていますが、病院全体に影響を及ぼすことは少ないので、このような機能評価の場を使って病院全体が改善活動を行い、地域の医療の質を上げつつ、職場として働きやすい環境づくりが進んでいけばいいなと考えています。