これからの薬の選択方法!一般名処方について

病院だより一般名処方

ジェネリック医薬品という言葉が一般的になってきていますが、私は普段の生活であまり意識していませんでした。しかしこの度病院では一般名処方加算というのを取り入れ、患者さんがお薬を選択する場面が増えることになりそうです。

なぜ一般名処方加算を取り入れると薬の選択をすることになるのか、そもそもジェネリック医薬品とはどういったものなのかを改めて整理してみました。

一般名処方とは?

まず初めに薬の呼び名には3種類あります。

  1. 先発医薬品
    • 例:ガスター錠10mg→新規医薬品など(個別の薬剤が指定)
  2. 後発医薬品
    • 例:ファモチジン錠10mg「サワイ」→ジェネリック医薬品、屋号(会社名)表記(個別の薬剤が未指定)
  3. 一般名
    • 例:【般】ファモチジン錠10mg→一般名表記(個別の薬剤が未指定)

つまり、一般名処方とは単に医師が先発品か後発品かといった個別の銘柄にこだわらずに処方を行っているものです。

新薬とも呼ばれる先発医薬品が最初に発売された薬で、後発医薬品(ジェネリック医薬品)は先発医薬品の再審査期間と特許期間(20~25年間)終了後に発売され、同じ成分、同じ効き目の薬です。

病院内の薬局や院外の調剤薬局に処方箋を持って行って薬を受け取る際に健康保険が適用されます。その際に後発医薬品(ジェネリック医薬品)を選ぶと先発医薬品よりも安いので、患者さんの支払いの負担と保険組合の支払いの負担が軽減されるので、国としても積極的に推進しています。

一般名処方の特徴

一般名処方で処方すると、調剤薬局では剤形の変更が認められています。

例えば内服薬の場合、

  1. 錠剤(普通錠)、錠剤(口腔内崩壊錠)、カプセル剤、丸剤
  2. 散剤、顆粒剤、細粒剤、末剤、ドライシロップ剤
  3. 液剤、シロップ剤、ドライシロップ剤

のグループに分かれており、同一グループなら剤形の変更が認められています。さらにその中で先発医薬品、後発医薬品(ジェネリック医薬品)が選択でき、大きさや含量(g数など)も変更できます。

一般名処方加算

また、病院にとってもメリットがあり、処方箋が一般名処方されていて、すべての薬が一般名処方だと6点、1品でも一般名処方だと4点加算されます。

この点数は1点で10円加算され、保険治療の3割負担だと1点で約3円になります。実際は1の位を四捨五入して計算しています。点数について詳しくは以前の記事で紹介しています。

一般名処方に関しての意見

一般名処方へ移行する際に不安の声がいくつかあるようです。例えば患者目線だと、

  • 後発医薬品の味が苦手、小児が飲んでくれない。
  • 患者家族からの希望。軟膏の使い心地など。

などがあります。こういった患者希望の場合でも一般名処方で先発医薬品に変更してもらえれば解決できます。

また、医師目線だと

  • ジェネリック医薬品では吸収・効果が変わるんじゃないか
  • 効果を確実に期待する場合
  • pHなど効果に差があるのではないか
  • アレルギー・副作用

などが挙げられます。医師の判断による先発医薬品を使用する場合は【後発品不可】の設定をすることで先発医薬品で処方することができます。

患者負担の増加?

実は一般名処方で処方されていなくても、後発医薬品(ジェネリック)があるお薬は薬局で後発医薬品に変更することも可能です。なのにわざわざ一般名処方にして処方するのかというと日本では後発医薬品の普及率が低いからです。

なぜ低いかというと理由は様々ありますが、そのうちの一つに患者の理解を得られないというのがあるそうです。薬局に先発医薬品の処方箋を持ってきて後発医薬品を薬剤師さんに勧められても患者の理解を得られず処方通りの薬にするケースが多いそうです。薬剤師的には一般名処方の処方箋を持ってきてもらえると患者の理解が得られやすく、後発医薬品の処方がしやすいとのことです。

また、一般名処方だと薬局の在庫の調整がしやすいというのも理由の一つだそうです。

まとめ

一般名処方は医療費削減を目的として国から後発医薬品の仕様が推奨されているため導入が進んでいます。後発医薬品に不安があるという方でも一般名処方では、後発品・先発品の選択や剤形の選択など、患者や薬剤師に委ねられていますので、患者自身・かかりつけ薬剤師との調整で上手に付き合っていく必要があるかと思います。