医療機器のお医者さん?!臨床工学技士について

医療の人々ME, 臨床工学技士

知り合いに臨床工学技士として働いている人がいますが、病院に就職する前は名前だけ聞いても何をやっているか全然わかりませんでした。しかし、働きだしてみるといたるところで臨床工学技士の方の業務内容が見えてきました。 今回はそのような臨床工学技士についてご紹介いたします。

臨床工学技士とは

臨床工学技士は私の病院での部署は医療機器管理室という部署に配属されており、通称MEと呼ばれています。MEはMedical Engineerの略で医療機器の包括的な管理をする職種になっています。エンジニア繋がりSEとしてはとても親近感が湧きます。 医療機器の扱いにたけており、そのほかのシステム面での知識や技能も高いと感じます。医療機器の管理にFileMakerというソフトを独自に導入して運用していたり、サーバーマシンの導入やタブレットの活用などシステム課に負けず劣らずITに詳しいです。

業務内容

業務内容としては主に以下のようになっています。

  1. 医療機器安全管理責任者
    医療機器の安全情報の収集と提供などを行っています。2007年に厚生労働省から「医療機器安全管理責任者の配置」が義務付けされており、その役割の需要が高まっています。
  2. 医療機器の管理業務
    医療機器の貸し出し回収・点検修理などの業務を行っています。管理対象機器は70機種/500台以上になるためその管理は半端ではありません。システム課でもPCやプリンタの管理を行っていますが、ほとんどがネットにつながっているので遠隔で操作できたりしますが、医療機器の中にはネットワーク機能を持たないものもあるので、実際に現場に行かないと対応できないこともあります。 そして機器の台数が多いので、前述したFileMakerなどで独自の管理システムなどを導入しています。また貸出業務も操作しやすいようにタブレットなどを導入していたりします。
  3. 診療業務支援
    もう一つ大きな業務内容として血液浄化療法・人工呼吸器療法などを行う際の診療業務支援があります。 透析関連の装置と透析液の水質管理や日常・定期メンテナンス管理なども臨床工学技士の重要な業務となっています。
  4. その他
    その他の業務として医療機器の研修・情報提供、医療機器のデモ・点検立ち合いなど病院外とのやり取りも多くあります。

臨床工学技士になるには

臨床工学技士も医師や看護師と同じく国家資格になっていますので、国家試験に合格する必要があります。その受験資格は高校卒業後、臨床工学技士養成課程のある4年制大学や短大、専門学校に通い所定の課程を修めると受験資格を得られます。 またすでに看護師、診療放射線技師、臨床検査技師のいずれかの養成課程を修了している場合、専門課程に1年間通えば臨床工学技士の国家試験を受けることができます。なので看護師などの勉強している途中で臨床工学技士に興味が出た場合進路を変更して受験することもできます。

国家試験の合格率は8割前後とのことで、しっかり学習して対策していれば比較的取りやすい資格と言えます。

医療機器もITと同じで常に進化続けています。医療機器に興味があり常に新技術に興味を持ち続けられることが重要になってくると思います。

SEとの関わり

IT分野に詳しいので、基本的なことは自己解決してくれますが、病院のネットワークなどを利用するためにはSEが管理していますので、そこらへんは調整が必要になります。

ネットワークやサーバーなどの知識・スキルはSEのほうがあるので(むしろそれがないとSEの立場ない…)、サーバー導入するときの設定やシステムを構築する際のアドバイスや方法などを共有しています。

まとめ

患者さんと直接かかわることは少ない臨床工学技士ですが、医療の現場では必要不可欠な職種となっています。生命の維持に重要な透析装置や人工呼吸器などを扱うことが多いので、普段のメンテナンスや補充などの管理ではミスが許されないのでプレッシャーがかかる職種だと思います。現在のコロナウイルス肺炎では人工呼吸器の出番が多くなり、人手も足りず忙しいとは思いますが、SEとしても微力ながら協力していきたいと思います。

医療機器に興味がある方、新技術・生命・医療に興味がある方ぜひ目指してみてはいかがでしょうか。