CT・MRI・TV・一般撮影の違いは?放射線科について

医療の人々CT, MRI, 放射線科

医療機器の中には大型の機械がありますが、そのような機器を多く取り扱ってる部署の一つとして放射線科が挙げられます。 大型の機器だけではなく、特別に用意された部屋なども必要で取り扱いに細心の注意が必要になります。

しかしそれぞれの機械をどのような場合に使用するのか良く分かっていませんでした。 なので今回は、放射線科について調べるとともにそれぞれの機器の特徴や使用例などを調査します。

放射線科の業務内容

当院での放射線科の業務内容は、X線写真、CT、MRIなどを用いた画像診断を主に行っています。現在の医療は画像診断をなくしては成り立たないと言われていて、非常に重要な部署となります。 具体的な業務内容は、放射線技師が各種画像を撮影し、画像診断専門医が撮影された画像を読影(画像を丹念に観察して読み取る)して問題となる個所や異常所見を見つけ、患者さんへ説明するという流れになっています。

また他にもがんの治療を目的として放射線機器を利用する放射線治療部門というのも他院では行っているそうです。

画像診断(治療)専門医になるには

放射線画像を読影し診断する医師は画像診断専門医(画像診断医)と呼ばれています。そのような画像診断医になるには基本的には他の診療科医師と同じように医学部からの医師国家試験が必要です。

医師国家試験合格後、2年間の臨床研修を受けるまでは同様ですが、その後定められた修練機関での画像診断・治療研修が3年以上必要になります。この条件を満たしたうえで、画像診断専門医試験に合格して晴れて画像診断専門医になることができます。

なかなかハードルが高い画像診断医ですが、日本全国の医療機関でCT・MRI保有台数に対しての放射線科医師の割合が少ないとのことで、どこの医療機関でも必要とされているそうです。

放射線技師になるには

医療職種の中で唯一放射線を扱える放射線技師ですが、診療放射線技師の資格は国家資格になっており厚生労働大臣からの免許が必要になります。 国家試験の受験要件として、診療放射線学科のある大学や診療放射線技師の養成施設(専門学校)を卒業するか、海外で診療放射線技師に関する学校を卒業することです。 そのため、学校で診療放射線技師に関する技術を習得し、国家試験を受験する流れになります。

画像診断装置の種類

放射線科で扱う画像診断装置は様々なものがありますが、各種装置の特徴は以下のようになっています。

X線TV装置

X線TV装置は、TVモニターで胃透視などのバリウム検査などをリアルタイムに見ながら検査する装置です。胃瘻造設術や嚥下造影検査や治療も行っています。

X線CT装置

CT検査とは、X線をしようして体の断面を撮影する検査です。単純CT検査で病巣が鑑別できない場合は、造影剤(ヨードやバリウムなど)を使用して検査を行います。

MRI装置

MRI装置は放射線を使いません。代わりに強力な電気磁石を使用して検査を行います。人体の各部分の病巣(出血・梗塞・腫瘍など)や、脳幹から脊髄までの状態を精密に調べることできる検査法です。

電磁石を使っているためペースメーカーを使用している患者さんや、体内に金属がある患者さんも検査できない場合があります。装置の外見はCT装置と似ています。
急性期の脳梗塞の鑑別や、造影剤を使用せずに血管を見ることができるなど、MRIを使うほうが有利とされている場合もあります。

その他装置

  • 一般撮影装置
    胸部撮影や腹部撮影、整形領域の骨撮影など人体の一部のみを撮影する際に使用される装置です。健康診断での撮影や、突き指などで検査する場合に使われることがあります。
  • 骨密度測定装置
    骨密度検査は、骨粗鬆症の診断などに有用です。骨の中にあるマグネシウムやカルシウムなどのミネラル成分がどの程度あるか計測して数値化することができます。
  • ポータブル撮影装置
    放射線科まで案内できない患者さんを病棟や救急外来で撮影するときに使用します。画質は劣りますが、電源さえ確保できればどこでも使えます。

安全対策

放射線を受けすぎる人体に影響が出る可能性があります。そのため放射線科では細心の安全管理を行っています。

  1. 患者誤認防止策
    患者さんを取り違えて、必要のない検査を行ってしまわないように患者確認をしっかりしています。入院患者さんは検査前にネームバンドなどでバーコード認証を行っています。外来患者さんにも案内表にバーコードが印字されているのでそれで確認しています。
  2. ポータブル撮影装置での対策
    どこでもX線撮影ができるポータブル撮影装置ですが、気軽に持ち運べるからこそ放射線にも気を付けないといけません。ポータブルでの撮影時には原則2m離れることになっています。 例えば胸部撮影で2m離れた場合の放射線量は0.02μSv(シーベルト)となっており、これは1日の自然放射線量の3μSvの150分の1と十分低い値になっています。
  3. TV検査時の被ばく
    TV装置での検査時にはリアルタイムでX線を当て続けるため、被ばくする量も多くなる危険性があります。そのため機械の影やX線防護衝立で低線量のエリアを作り対策しています。
  4. MRIの磁場
    MRI室では検査時ではなくとも、磁場が発生していることがあります。MRIの磁場は酸素ボンベや点滴スタンドを吸着するぐらい強力です。

引用元: 失敗百選-MRIにボンベが引き込まれて男児に衝突 [http://www.sydrose.com/case100/257/]

院内SEとの関係

放射線科では以前の記事で紹介したPACSのシステムと連携しています。

当院のPACS導入の業者は電子カルテの業者とは違うので、院内SEとしてはトラブルが起きた際は業者に電話で相談して、場合によっては現地に来てもらっています。基本的には大きなトラブルもなくスムーズに業務が進んでいるのですが、その分問い合わせが普段ないので、いざ呼ばれてみるとあたふたする場面が私は多いです。(汗

放射線科まとめ

放射線科は大掛かりな機械と専用の部屋をいくつも持っていてそれぞれが何をしているか良く分からなかったのですが、今回調査してある程度分かったと思います。

放射線という扱い方を間違えれば命に係わる装置を扱っていて気苦労も多いと思いますので、その分電子カルテとの連携などシステム面でバックアップできるようになりたいです。