訪問診療と往診の違いとは
患者さんの大半は病院に通って医療サービスを受けていらっしゃいますが、その他にも医師や看護師が患者さんのご自宅や施設などに赴いて診療・診察などを行うことがあります。最近では自宅や老人ホーム、グループホームなどで医療サービスを受けられる在宅医療が増えているそうです。私の病院でも訪問診療を行っていますが、ふと往診という会話が耳に入りました。どちらも患者さんの自宅で医療サービスを施しているようですが、何が違うのか気になったので、今回調べてみました。
訪問診療とは
訪問診療とは 計画的な医療サービス(=診療) を行うことです。あらかじめ毎週○曜日の○時と日時を決めて医師が患者さんのご自宅などへ訪問の上診療します。貴重な医療資源をより多く必要とするため、通常の外来よりも診療報酬が高く設定されています。 訪問診療を行うには疾病や傷病のため通院が困難な場合に行うなど要件が定められています。疾病や傷病のために通院による療養が困難な者に対して定期的に訪問して診療を行います。在宅患者訪問診療料1を算定できる場合は833点が通常の診療とは別にかかる場合があります。病院に通院して再診する場合は再診料72点なので、医師の負担を大きい方の点数が高くなっています。
往診とは
往診とは突然具合が悪くなった患者さんのもとに伺って診察することです。こちらは患者さんやその周りの方から連絡を受けて、突発的に訪問して診療することになります。緊急性を問われるので、症状を緩和する対症的治療が主になります。またこちらも往診料として720点ほど算定される場合があります。救急車を呼ぶほどではないが、普段からお世話になっているかかりつけ医などにお願いする場合が多いそうです。 ちなみに救急車を呼ぶと、救急車内での処置や医療機器など物品の費用は税金が使われるので費用は掛かりませんが、病院について救急科にかかった場合は救急搬送診療料1,300点がかかる場合もあります。
訪問看護
同じように訪問するサービスとして訪問看護があります。こちらは医師が訪問するのではなく、看護師などが訪問して主治医の指示や連携により看護を行います。病院で受けられるサービスを自宅や施設でも受けられるので希望に沿った療養生活のための支援や調整を行えます。基本療養費がかかり利用日数や、看護師、准看護師などによっても料金が変わってきます。医療保険や介護保険が適用できます。
私が所属している法人内では訪問看護ステーションを持っていて、そこから訪問看護を行っています。訪問看護ステーション内には医師が所属している必要はなく、独立した事務所になっています。病院から離れていることによって遠くの患者さんにも看護サービスを提供できるようにしています。
病院外でのカルテ入力
普段は病院に通院してきた患者さんを、病院内のPCでカルテ入力を行うのですが、訪問先だと病院内の閉じられたネットワークを利用できないので、一工夫が必要です。 私の病院ではVPNというサービスを使ってモバイルルーターなど介して、病院内のPCに接続してリモートでカルテ入力ができる仕組みを導入しています。処方箋など印刷が必要な場合はモバイルプリンターを使ってその場で印字して渡しているようです。たまに電波が弱かったり、リモート先のPCに接続できなかったりと問い合わせがありますが、訪問先にいて直接現場で対応できないので対応が難しい場合もあります。
正しい知識で適切なサービスを選択
普段は病院で通院や入院のサービスを利用される場合が多いと思いますが、どうしても通院・入院できないときや、普段の生活の中で療養をしたいなどの希望に沿って医療サービスを自宅や施設で受けられます。 ただし、医師の負担も大きくなり、費用面でも負担がかかるので患者さんの状態や希望に合った適切なサービスを選択していくことが大事だと感じました。
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