院内SEが使っているアプリって何?使用ソフトについて

医療情報システムアプリ

病院内には多くの職種が連携して働いているので、職種や役職によっても業務内容に違いがあります。院内SEも病院内では特殊な職種でPCの中に入っているソフト・アプリも特別なものが多くあります。

最近業務用に使っている個人PCを入れ替えることがあり、普段使っているものを整理して設定していました。病院内の多職種とは違う院内SEならではのソフト・アプリについての紹介や、使う用途・業務について書いていこうと思います。

業務内容

院内SEの業務内容は以前紹介したように多岐にわたります。

その中でも開発業務や、システム設定業務では特別なソフトがないとできなかったり効率が悪くなるものなどもあります。そのソフトを用途別に分類して説明していきます。

通信関係

メールなどの情報のやり取り、PCの遠隔操作などネットワークに関連するプログラムを紹介します。

  • ThunderBird
    メールは院内SEにとって大事なものです。メールで問い合わせを受けることもありますし、業者とのやり取りにもメールを多用します。そのためメーラーアプリであるThunderBirdを導入しています。職場ではWebメールのシステムが入れられているので、メーラーアプリが必ずしも必要ではないのですが、ThunderBirdだと検索機能やフィルター機能、通知機能などがあるのでより使いやすくメールを確認できるので入れています。
  • IP Messanger
    院内SEの職員同士でのやり取りには対面で話すことも多いのですが、相手が不在時やファイルを渡したい場面があるので、IP Messangerを使っています。また、別拠点とのメンバーとやり取りにも有用です。通常IP Messangerは同じIP帯のユーザーしか認識せず同じフロア同士でしか使えないことが多いのですが、メンバーマスターとして起動する1台を決めておけば、別ネットワークのユーザーも自動認識されメッセージのやり取りができます。
  • Tera Term
    院内のメールサーバーなどLinuxで動いているシステムにはWindowsからは直接ログインできない場面があります。この場合SSH(Secure Shell)という方法を使うのですが、これを実現するソフトがTera Termです。Linuxにログインすると普段のWindowsの画面(GUI)ではなくコマンドで操作する黒い画面(CUI)で操作する必要があるので、Linuxのコマンドを知っておくと便利です。
    ちなみにSSHログインをするソフトは他にもいくつかあり、Rloginというソフトを見つけたので、最近はこちらを使っています。このソフトでは腹痛の接続先を記憶できるので、毎回IPアドレスを打ち込まなくていい点が気に入っています。
  • VNC Viewer
    職員から問い合わせを受けた際に、相手先のPC画面を見ながら現象を確認したり、解決手順を教える場面がよくあります。この時に役に立つソフトがVNC(Virtual Network Computing)と呼ばれるソフトです。このソフトを使えば、相手が操作しているPCを遠隔で見たり操作できます。Windows標準ソフトのリモートデスクトップだと、接続した際に相手先のセッションを奪ってしまうので、相手先では画面操作が出来なくなるので、用途に合わせて使っています。 VNCのソフトはいくつかあるのですが、UltraVNCというソフトをよく使っています。

プログラム関係

電子カルテシステムを入れる前や導入後でも、不足している機能や欲しい機能を実現するために院内で独自開発しています。そういったプログラムの開発や修正などを行うためにも特別なソフトが必要です。そういったプログラム開発関連のソフトの実例を紹介します。

  • Visual Basic 6.0 Enterprise
    システム課の部署立ち上げ時に使っていたプログラミング言語がVB(Visual Basic)と呼ばれる言語で、Microsoftが開発したものになります。Microsoftが開発しただけにWindowsとの親和性がよく、ソフトを配布するだけで使える手軽さがよかったのだと思います。既に開発環境のサポート期限は終了しているのですが、Windows 10でも動作するため現役で使われています。 プログラム修正するだけだとメモ帳などでも修正できますが、動きや画面パーツの配置、新規開発などをしたい場合は、統合開発環境が必要となります。VBの開発は経験なかったのですが、ExcelVBAでの開発とよく似ていたので、あまり躓かずに入れたと思います。
  • Visual Basic Source Safe
    Visual Basicのソースコード管理ソフトとしてVisual Basic Source Safeがあります。プログラム開発できる院内SEが複数人いる場合に、同じソースコードを同時に修正してしまわないようにだったり、バグが出た場合など修正前に戻すことができるソフトです。
    サーバー上でソースコードを管理して、各自のPCにもプログラムソースコードはありますが、全体に反映させるには、チェックアウト・チェックインという処理が必要になりプログラムの同時修正を防止できます。 このソフトも使ったことがありませんでしたが、後述するSVNでも同様の仕組みだったので、スムーズに使えました。
  • Visual Studio
    前述したVB6の後継開発手法として、院内ではC#が採用されました。その統合開発環境がVisual Studioです。ツール自体の使い心地は問題なく機能も多い感じなのですが、まだ使いこなせていないです。というのも、C#での新規開発の案件がなく、ちょっとした修正や自分が欲しいと思ったツールを少し作ってみただけなので、高度な機能や操作を行っていないです。 前回作ったプログラムや使い心地についた下記の記事に書いたので良ければご覧ください。 https://hospital-se.work/surveillance-tool/
  • Tortoise SVN
    C#への移行に伴い、ソースコード管理の方法も変更されました。それがSubversionというものです。そのSubversionを管理しているソフトとしてTortoise SVNというのを導入しています。VSS(Visual Basic Source Safe)はVB6との親和性は良いのですが、言語にかかわらず取り入れられているのがSubversionという感じがします。また、VSSでは同時に同じソースコードを修正できないように設計されて同時に修正しまったらどちらかのファイルを上書きするしかないのですが、SVN(Subversion)では同じソースコードを修正してしまった場合でも修正した個所を見比べて両方の修正点を取り入れることができます。 また、Windowsの右クリックメニューやシステムアイコンなどもあり、操作性などもよくなっています。

SQL

電子カルテシステムのデータなどがデータベースに保存されていますが、データの分析などの依頼を受けることもあります。そこで役立つのがデータベースからデータを抽出できるSQL(Structured Query Language)です。

  • SQL Management Studio
    DBサーバーは何種類かあり、その中でSQL ServerというMicrosoftが提供しているシステムがあります。SQL Management StudioはこのDBと相性がよく、ストレスなく使えています。SQLの補完入力もサポートしており実行結果も見やすいと思います。一時期SQL Serverのバージョンアップを行ったらエラーが出るようになっていましたが、SQL Management Studioもバージョンアップすればエラーも出ず快適に使えるようになりました。
  • a5m2
    a5m2はフリーのSQLクライアントソフトです。MySQLやSQL Serverなど多くのDBに対応しており軽快に使えます。データベースを少し参照したり、書き換えたい時に使っています。

その他

  • Kaspersky Securite Center
    ウィルス対策ソフトのKasperskyを集中的に管理できるソフトで、どのPCに入っていて警告が出ていないかなどの情報が見られます。あまり不満はないのですが、誤検知や処理エラーなどがたまにあるのが気になります。
  • サクラエディタ
    フリーのテキストエディタで、メモ帳とは違い様々な機能が内包されています。よく使うのはテキストファイルなどの中身を検索するgrep機能や、正規表現を使って文字を検索・置換する機能です。他にも.configファイルなど右クリックで開けるメニューが追加できるので確認する際に重宝します。
  • 電子カルテシステム管理系アプリ
    例えばユーザーマスタの管理や、ユーザーごとのアプリ割り当て、各種マスタ更新やプログラム修正パッチ適用などを行える管理系のアプリを使用しています。全体に影響が出る場合、細心の注意を払って事前にアナウンスをしたり、休日の前日には行わないなど配慮しています。

個人的使用ソフト

個人的に使用しているソフトもいくつか紹介します。

  • Vivaldi
    個人的に使っているブラウザはVivaldiというもので、マウスジェスチャーが最初から入っていることが気に入っています。また、サイドバーにブックマークなど配置できる点もおすすめです。Chromiumをベースに作られているので、Chromeの拡張機能も入れられますが、若干Chromeとは動きが違う部分もあります。
  • Windows Terminal
    Windowsでは標準でコマンドプロンプトとPowerShellが入っており、それぞれアプリが異なっています。またWSL(Windows Subsystem for Linux)という機能も入れれば、Windows上でUbuntuなどのLinuxが使えるようになりますが、こちらも使うアプリが異なっています。
    これらをまとめて同じアプリで使えるのがWindows Terminalです。タブごとにコマンドプロンプトやPowerShell、WSLの画面が開けるのでアプリを切り替えずにそれぞれの作業が出来るようになって便利です。

まとめ

こうしてまとめてみると、多くの業務アプリを使っているんだなぁと感じました。それだけ院内SEの業務が多岐にわたっていることかと思います。それぞれのソフトを使いこなせているわけではないので、より効率よく作業できるように調べていこうと思います。

また、他の職種にも言えることですが、周りがこのソフト・やり方でやっているからそれを使い続けるのではなく、今までのやり方に疑問を持って業務を行うのが大事だと思います。
とある経済学者の調査結果でパソコンに初めから入っているブラウザIEやSafariを使い続けている方は、それ以外のブラウザChromeやFireFoxなどインストールしないと使えないブラウザを使っている方に比べて、生産性が低く、離職率も高い傾向にあるということを分析されたようです。

私も今までの業務方法に納得せず、常に業務改善を意識しながら新しい方法やアプリなどを模索し続けていこうと思います。