未来を拓く治療!?治験について
アルバイトの情報などでたまに聞かれる治験ですが、私の働く病院でも治験を行なっている部署がありました。 治験について名前だけは聞いていても内容についてよくわかっていなかったので、今回は治験について調べてみました。
治験とは
通常日本の医療機関で行われている診療は、原則保険診療で行われており、患者さんの自己負担は1割〜3割程度で残りは国費から補填されています。 https://hospital-se.work/payment-for-medical-services/
保険診療として認められるには、多くの患者さんに対して効果が認められる必要があり、保険診療として認められていない治療法は自費診療となり保険適用の範囲外となり全額自己負担となります。 例えば良く聞く例だと、歯医者さんでのホワイトニングやインプラント治療などが挙げられます。他にはAGA治療やにんにく注射など直接健康に支障が出るわけではない部分の治療などが保険適用外になることが多いです。
新しい治療法の開発は、医療機関でも広く行われており、それを総称して臨床試験と呼ばれています。 病院内ではそれらの関連部署を設けているケースがあり、そのうちの一つで医薬品の開発に特化した臨床試験、治験を管理する部署があり、製薬会社などが携わるため開発規模として大きくなっています。
実施要件
治験は各医療機関で行われていますが、どの医療機関でも行われているのではなく、省令に定められた要件を満たす施設だけが選ばれて実施されています。 その要件として
- 医療設備が十分に整っていること
- 責任を持って治験を実施する医師、看護師、薬剤師などがそれっていること
- 治験の内容を審査する委員会を利用できること
- 緊急の場合は直ちに必要な治療や処置が行えること
などが挙げられます。
治験のルール
治験を行う製薬会社、病院、医師は「薬機法(2014年に「薬事法」から名称を変更)」という法律と、これに基づいて国が定めた「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」という規則を遵守しなければなりません。この症例のことをGCP(Good Clinical Practice)と呼んでいます。
GCPには下記のようなルールがあり、治験を実施する際には守るべきルールとなっています。
- 治験審査委員会(倫理委員会)で治験の内容をあらかじめ審査すること
- 同意が得られた患者さんのみを治験に参加させること
- 重大な副作用は国に報告すること
- 製薬会社は、治験が適正に行われていることを確認すること
インフォームド・コンセント
インフォームド・コンセントとは、日本語で「説明と同意」のことであり、患者さんがこの内容に同意されないと治験を始めることはできません。また、医師も効果が期待される患者さんにのみ治験への参加を尋ねます。
インフォームド・コンセントの内容は下記のような事項が説明されます。
- 治験の目的や治療薬の使用方法、検査内容、参加期間
- 期待される効果と予想される副作用
- 治験への参加はいつでも辞めることができ、不参加の場合でも不利益は受けないこと
- カルテ、検査結果などの医療記録を治験を依頼した製薬会社、厚生労働省、治験審査委員会などの担当者が閲覧すること
- 担当医師の氏名や連絡先 など
院内SEとの関わり
あまり直接関わる頻度は多くないのですが、治験の記録や患者さんのカルテの閲覧のために電子カルテを使用しているためネットワークやPCトラブルのため関わることもあります。
私の働いている施設では、コロナ禍で臨床試験を行うため急ピッチでPCやネットワークなどを準備したためか、プレハブのような小屋で無線LAMを飛ばして業務を行なっている部署でした。
ある日、ネットワークに繋がらないと連絡を受けて現場に向かったところ、バイオハザードマークなどが入り口に貼られており内心ビビりながらトラブルに対応したことが印象に残っています。
まとめ
治験に関する部署は一般の患者さんが立ち入ることができない場所で業務を行なっており、普段は意識されないと思いますが、新薬の開発や最新の治療法などの開発に携わっている重要な部署です。
新型コロナウィルスのワクチンなども治験に参加してくださった患者さんと、医療機関や製薬会社、政府などの連携があって早期実現が成し遂げられたと思います。
私は治験に参加したことはないのですが、私のできる範囲で医療に貢献していきたいと思います。
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