面会をビデオ通話で!アプリの種類と特徴は?

院内ヘルプデスクSkype, Skyphone, Slack, ビデオ通話

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言も当初の予定から延長され、病院としても依然として油断できない状況が続いています。私の病院では少し前からお見舞いなどの面会をお断りさせて頂いておりますが、長らく面会禁止が続き、解除される見通しが立たないため、看護部のほうから面会をビデオ通話で出来ないか検討してくれないかという依頼が来ました。

ガラケーの時代からビデオ通話が身近で使われ始め、現在でもLineなどで手軽にビデオ通話ができる今日この頃ですが、病院内に導入するにはどのようなアプリがいいのか調査して実際に運用開始することができたので、アプリや運用方法の紹介をいたします。

運用方法

しばらく前から病院では身の回りのお世話をする方以外の面会を禁止しております。ホームページでもアナウンスしていますが、地域柄ホームページを見ない方も多く、またお恥ずかしい話ホームページがスマホ対応されてないなど諸問題がありまして、お見舞いなどの面会に来る方が結構来るようです。

そこで看護部から直接面会をすることは感染のリスクを高めてしまうので、ビデオ通話での面会が提案されました。運用方法としては、病院入り口に職員が受付を行い、病棟の職員に取り次ぎ面会に来たことを伝えます。病棟の職員は患者さんを呼び面会をタブレット端末で行うという方法で運用を行うとのことです。

ビデオ通話を行うタブレット機器やアプリの選定を私が担当することになりました。

使用機器

  • NEC Lavie E Tab(Android)
  • iPad mini(iOS)

アプリの選定

病棟と入り口に立っている職員で運用するので、操作方法が簡単でだれでも使えるアプリを条件に探していました。

アプリ操作性アカウント登録安定性
Line必要(要電話番号)
Slack必要
GoogleMeet(Hangout)必要(要電話番号)未検証
Skyphone不要〇(機種依存の問題がある)
Skype必要(本人確認のための電話番号)〇(ログイン不能になる場合がある)

Line

まず初めに当たりを付けたのは、ほとんどの職員が日常的に使用しているであろうLineです。Lineなら使い慣れているので導入しやすいと思いインストールしてみたのですが、Lineで新規に登録するには電話番号が必要になります。病院のタブレットはWi-Fi運用で使用しているので、SIMカードが入っていなくて電話番号も付与されていません。 電話番号がなくてもFacebookアカウントがあれば登録できるようですが、そのためにアカウントを取得するのも面倒なので却下となりました。

Slack

病院内に広めようと密かに普及しているSlackを考えてみました。SlackとZoomなどを連携させてビデオ通話をしていたのですが、連携させないとビデオ通話ができないと思いこれもスルーしました。 ※この記事を書いているときに調べたのですが、Slackは無料プランでも1対1でビデオ通話ができるそうです。せっかくSlackを布教できるチャンスだったのに、詰めが甘かったです。

GoogleMeet(Hangout)

次にAndroidなら初めから入っているアプリGoogle Hangout(もしくは Duo)を検討しました。これならインストールの手間が不要で、買ってきた端末で設定だけすればOKです。しかしこれもLineと同じく電話番号が必要になるようです。Googleの似たようなサービスでAllo、Duo、ハングアウト、Meetなど様々ありますが、どれも電話番号やGoogleアカウントが必要になるみたいで、手間になりそうだったので結局別のを検討することにしました。

Skyphone

ここで導入一歩手前まで進んだのがSkyphoneというアプリです。このアプリはインストールするだけで固有の番号を付与され、普通に電話番号を入力して相手に電話・ビデオ通話ができるアプリです。しかもAndroid・iOS両方対応していて、ほぼ無料で使えるという大盤振る舞いっぷりです。国産のアプリで富山県の会社で開発しているそうです。

実際に院内にある端末で試してみたところ、android同士・androidとiPadでのビデオ通話ができたので、これに決めて病棟でタブレットを導入していない部署でも新規にタブレット端末を購入することにしました。

ところが、ここで事件が起きました。新規に導入したタブレット端末でSkyphoneを試すと、音声通話はできるのですが、ビデオ通話になると「お使いの通信環境ではビデオ通話ができません」というメッセージが出て使えませんでした。同じWi-Fiネットワークでも同様で、すでにあった端末同士ならビデオ通話が出来ていただけに残念です。

無料で使わせていただいているのに、お問い合わせを送るのは少し申し訳なかったのですが、開発元に一応問題報告をしたところすぐに返信が返ってきました。 どうやら同じネットワークで上記のようなエラーメッセージが出る場合は、機種固有の問題らしくNEC Lavie E tabでも何件か同じ症状が発生しているとのことでした。androidは機種が様々ですべての端末で対応するのは難しいので全端末で使えるわけではないようです。

導入一歩手前まで行き、新規タブレットも購入してしまった以上、早急に次のアプリを探すことにしました。

Skype

最後に調べたのはMicrosoftの老舗アプリSkypeです。Skypeは昔からあり名が通っているアプリです。システム課でも数年前まで使用してミーティングなどを行っていたそうです。私も個人で何度か使用したことがあります。また最近ではお昼のニュース番組でリモートで参加している芸能人もSkypeを使用しているようです。

名があり、老舗なので信頼性や安定性は抜群だと思います。しかしやはりアカウントが必要になるので、各病棟ごとにアカウント作成を行いました。アカウント作成作業で、スムーズに進んだのですが3病棟目ぐらいで電話番号によるSMSの確認を求められました。その場合はスマホのテザリングやVPNなどを使用して回線種別を変えれば求められなかったです。

各病棟のアカウントを作成して次の日、作成したアカウントを設定した端末で「ご使用のアカウントがロックされました」と表示されていてログインができない状態になっていました。おそらく、同じ病院の回線から何度もアカウントを登録したので、不正な登録だと認識されてしまったのだと思われます。 解決方法としてはMicrosoftのアカウントページに飛び電話番号によるアカウント認証を行いました。どうやら電話番号は紐づけされるのではなかったので、自分の番号で認証していたのですが、1番号につき2アカウントまでみたいで、上司や同僚の番号を借りて認証しました。

入り口と各病棟で動作確認を行い問題なかったので、看護部へ操作説明を行い無事に運用を開始することができました。連休で面会が多くなる前に導入することができてよかったです。

コロナ時代の対策

新型コロナウイルスの対応で病院にも新たな対応が求められてきています。今回の面会対応もそうですが、病院内の会議もリモートで行う事例が増えてきていて、病院にも新たな風が吹いています。

院内SEとしても自宅から院内環境にVPNで接続できる方法が用意されているので、話題になっているテレワークなどもできないか検討中です。ただスムーズに操作できないとか電源が切れていたら付ける手段がないなど問題が残っているので、どうにか解決手段を調査しています。