コアスイッチ・フロアスイッチ・エッジスイッチについて
病院内には至る所にネットワークが張り巡らされていますが、各端末につながっている有線LANや無線LANはスイッチングハブという機器から配線され、端末につながっています。スイッチングハブという総称で呼ばれていますが、要所要所で置かれている機器では名前が違ったり、役割が違ったりしています。今回はそのようなスイッチングハブの種類について調べました。
スイッチについて
スイッチングハブの役割や機能については前回の記事に書いてあるのでそちらをご査収ください。
ネットワーク更改が予定されていて、その会議の場に参加することがあるのですがその中で、コアスイッチ・フロアスイッチ・エッジスイッチという言葉が何度も出てきて、私は全部同じスイッチングハブという認識でいました。しかし話が進むにつれ、それぞれのスイッチングハブで役割が違ったり、故障時の交換用のハブもコアスイッチ同士、フロアスイッチ同士でないと予備機と交換できないみたいな話が出てきて、違うものだと知りました。
各スイッチの役割
各スイッチングハブの役割を図で表すと下図のようになります。
コアスイッチが起点でそこからフロアスイッチにつながり、フロアスイッチからエッヂスイッチにつながります。最終的にはエッヂスイッチから各端末のPCやプリンターなどに接続されています。
コアスイッチ
コアスイッチ(core switch)は基幹スイッチとも呼ばれ、文字通りコア(核、中枢部)となるスイッチです。インターネットや施設間ネットワークの玄関口としても使用され、高い性能や信頼性などが求められます。高度な通信制御を行うためL3スイッチとなっている場合が多いです。
今回紹介する3つのスイッチの中でも最も高いパフォーマンスを必要としていて、スイッチネットワークの形成や、大容量のデータ転送に対応していて、安定稼働することが求められています。10Gビット/秒の転送能力または100Gビット/秒のモジュールを備えている製品もあります。価格も一番高く数十万から数百万レベルになってきます。 コアスイッチが障害などで止まってしまうと全体のネットワークもダウンしてしまうので、冗長化することがほとんどです。同じ設定のコアスイッチを2台用意しておき、1台が実際に稼働し、もう一台は電源がついたスタンバイ状態にしておきます。稼働していた方が障害などで止まると障害を感知しスタンバイしておいたコアスイッチが代わりに稼働します。
途中に出てきたL3スイッチとは、ネットワークの通信規約(プロトコル)の3階層目にあたるレベルで、通常のスイッチングハブの機能に加えIPアドレスを解析して転送先を制御する機能(ルーティング)などを持っています。またルーティング専用のチップを搭載しておりより高速に処理できるようになっています。
フロアスイッチ
フロアスイッチ(floor switch)は名前の通りフロアごとの各階に配置される中間的なスイッチで、末端のエッヂスイッチからの接続を受け付け中枢部であるコアスイッチへと接続する役目になっています。小規模なネットワークならエッヂスイッチと同じくL2スイッチを使うこともありますが、大規模になるとコアスイッチと同じくL3スイッチを使うことが多いです。
L3スイッチにするメリットとして、スイッチのポートごとにVLANを設定できて、同じスイッチに挿していても挿す場所によってネットワークを分けることが可能です。VLANの説明は過去の記事でも紹介しているので良ければ見てください。
https://hospital-se.work/differences-between-switching-hubs-for-enterprise-and-home-use/#toc_id_3_2
エッヂスイッチ
最後に最もユーザー側に近いスイッチとしてエッヂスイッチ(edge switch)があります。アクセススイッチとも呼ばれていて、フロアスイッチから伸びたLANケーブルがエッヂスイッチにつながり、エッヂスイッチから壁から出ているLANコンセントに繋がったり、直接端末につながったりしています。
上記2つのスイッチはサーバー室やEPS室など一般のユーザーからは見えない場所に設置されていますが、エッヂスイッチは天井近くにハブ棚を作って設置されていたり、ユーザーから見えるけど普段は届かず邪魔にならない場所に置かれていることが多いです。 エッヂスイッチではあまり難しい処理は要求されずに接続すればつながればよいので、L2スイッチが使われることがほとんどです。
リピーターハブ
少しスイッチングハブとは外れますが、エッヂスイッチのポート数では足りずに更にハブを接続することがあります。このハブの中でも特に安価なタイプはリピーターハブと呼ばれていて時にはバカハブとも呼ばれます。これは正確にはスイッチングハブではなくネットワークタップとも呼ばれ機能が省略された製品になります。
スイッチングハブとリピーターハブの違いはハブに送られてきたデータをハブに繋がっている全端末に流すか流さないかが違いになります。流す方がリピーターハブで、送った情報はリピーターハブにつながっている全端末に送信されますが、端末では関係ない情報は無視するように設定されています。 ただ、最近ではリピーターハブは見られなくなっていて、スイッチングハブと置き換わっているようです。Buffaloでは売られているハブは現在すべてスイッチングハブとなっているそうです。
比較表
説明 | コアスイッチ | フロアスイッチ | エッヂスイッチ |
---|---|---|---|
概要 | 主に拠点間の通信に使用するスイッチ、拠点から外部へのスイッチ | 主にフロアごとに設置して複数のエッヂスイッチを束ねるスイッチ | 主に拠点内の各端末の接続に使用するスイッチ |
一般的な設置場所 | 拠点のバックボーンネットワークに設置(サーバー室など) | フロアごとに設置(EPSやPS室) | 部屋の中のハブ棚などユーザーの近く |
スイッチ種別 | L3スイッチ | L2やL3 | L2 |
要求される主な機能 | QOS、管理機能、高信頼性 | VLAN、QOS、管理機能 | スイッチング、管理機能、省スペース、消音 |
スイッチングハブのまとめ
一口にスイッチングハブと言ってもその種類は様々あり、その機能により値段などにも大きな違いがあることがわかりました。ネットワーク更改の打ち合わせに参加しているなかで知っているつもりでも知らないことが多かったので今回調べて良く分かりました。
スイッチングハブの管理や設定のためにはコンソールという黒い画面で設定を行う必要もあるため、ネットワーク管理者やネットワークスペシャリストを目指すためには必要な知識です。私はネットワーク管理者ではありませんが、打ち合わせの場や運用を行っていくうちに知識を積み重ねてネットワークのトラブルをすぐに解決できるようになっていきたいと思います。
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